仙台泉プレミアム・アウトレット店

こんにちはアウトレット仙台泉店です。

「御当地ブランド」とはよく耳にする言葉ですが、その中身は意外にも奥が深いものです。

 

例えば仙台は牛タンも有名ですが、「仙台牛」という牛肉のブランドもあります。実はこの仙台牛は元々は兵庫の有名な種牛との長い年月を掛けて品質改良で生み出された最高ランクの牛肉を意味します。

 

現在の仙台牛を定義するならば

1.黒毛和牛であること

2.仙台牛を銘柄とする協議会の市場(子牛市場)で流通するもの

3.宮城で食肉として定められた管理基準で飼育されていること

4.水準以上の最高ランクのもの

この4つが備わらなければ「仙台牛」を名乗る事か出来ないのです。

 

アパレルの世界でもアメリカンコットン、タスマニアウール、ハリスツイードetc…多くの地名や国を冠にした名称の素材があります。

 

 

今回はそんな地域ブランドに関係するお話しです。

 

あれは4、5年前、関東の売場にいた時のことです。

4月も半ばに入り、関東の桜の花は僅かとなり葉桜を楽しむ時期でもあります。

気温も20度前後を行き来する為、そろそろリネンのジャケットが恋しくなる季節です。

リネンは元々強度があり、吸水性、吸湿性に優れ、そのシャリットした手触りは肌に密着しないので、湿度が高い日本には快適な生地であると言えます。

 

その日、ある御年配の着道楽のお客様にリネンのジャケットをお勧めした所、反対にリネン(麻)について色々と教えて頂きました。(基本的知識が足りなくてスミマセン!)

 

※写真はイメージになります。

 

それはリネンの最高峰と言われるアイリッシュリネンのことです。

 

アパレルで販売の仕事をしていると、春先になるとアイリッシュリネンという下げ札が付いた麻のジャケットが時々入荷してくる事があります。

 

私はてっきり名前の通りアイルランド産の麻を使った高品質の生地と思い込み、なんの疑問も持っていませんでした。

 

『近頃アイリッシュリネンと言われているものは実は本物ではないんだよ‼️というお話をそのお客様からお聞きしたのです。

 

お話によるとアイルランドではフラックス(リネンの草の状態)はもう栽培されていませんし、すでに糸にする為の紡績も行われてはいません。

 

実は現在、店頭にある"アイリッシュリネン"はフランスやべルギーで栽培されたフラックスを中国やイタリアで紡績しイタリアやアイルランドで生地にしたものだそうです。

 

そのお客様も馴染みの老舗のテーラーでビンテージのアイリッシュリネンを見せてもらったという話でしたが、既に糸しか残ってないということでした。

 

染色していないのに輝くようなシャンパンゴールドの生成りの糸であったことや、良い麻は皺になりにくく、細く長い繊維なのでネップが入って無いなどの話は続き、どこから話がそれたか忘れましたが、最後のテーマは「世界の三大獣毛」の話を熱弁していらっしゃいました(笑)

私も勉強にはなりましたし、楽しい時間を過ごさせていただきました。

 

補足ですが、現在のアイリッシュリネンという名称は最高級のフラックス(リネン草)を潤紡という方法で細番手の糸を紡ぎ、それで織ったものを称しているそうです。

 

せっかくだったので、ビンテージのアイリッシュリネンの画像を探すのにネットで調べたら、素晴らしいブログがありましたのでご紹介させて頂きます。

『遥かなるアイリッシュリネン。』というタイトルに掲載されている本物のアイリッシュリネンの画像は…

 

ガーゼ生地に織り上げられストール、シャンパンゴールドの生成りの糸、お客様も糸しか見たことが無いと言ったのですが、まさしくこれです。

 

こんなビンテージのアイリッシュリネンとまではいかなくても、上質なリネンの洋服は「2年無駄に着る」とよく言れます。

しだいにリネン特有の硬さが取れ、柔らかくなり身体に馴染んでくるそうです。

そんなリネンの洋服とは長く付き合いたいものですね。

 

※リネン系のジャケットもかなり入荷しました

 

接客を通して一期一会の出会いがあり、洋服に関する見識が深まることも度々あります。

 
 商品の名前の由来などには諸説あり、全てが定かどうかはわかりかねますが、たまにはこんなファッション小話も…

 

 

スタッフ一同、皆様のご来店を心よりお待ちしております。