仙台泉プレミアム・アウトレット店
プリンス・オブ・ウェールズとハリスツイード
「ツイードなんて、買って直ぐ着るものじゃないよ。
3年くらい軒下に干したり雨ざらしにして、くたびれた頃着るんだよ」
戦後の日本の実業家でファッションのアイコンでもある白州次郎がファッションデザイナー三宅一生にアドバイスした名言です。
こんにちはMitsumine仙台プレミアムアウトレット店です。
今回は久しぶりに入荷したツイードの王様と呼ばれるハリスツイードのジャケットの紹介になります。
ハリスツイードと言えばスコットランドの北側に位置するアウターヘブリディーズ諸島(ハリス島・ルイス島)発祥のツイード生地で、ザックリとした織物で重量があり、暖かく丈夫で長持ちするということで有名です。
そして何よりも特徴的なのは生地の「油分」です。
ハリスツイードでは通常ウール生地で行われる脱脂作業(油を抜く作業)は行われません。
そのため通常のウール素材より撥水効果が高いと言えます。
よくアパレルのセールストークで「一生モノ!」という言葉を使う場合がありますが、私自身はこのハリスツイードにしか使ったことがありません。
最近は比較的柔らかく着やすいツイードが主流ですが、やはりハリスツイードは別格です。
元々はその島々の厳しい環境で漁師が着ていたことから発祥の防寒着なので、頑強で寒さに強い必要がありました。
もちろん、そういうヴィンテージと呼ばれるハリスツィードは現代の市場にあるものよりははるかに厚手で油分を含む頑強な物だったようです。
冒頭の白州次郎のエピソードですが、時代背景から考えてもそのツイードはハリスツイードのことだったかも知れないですし、当時のツイードがかなり頑強なもので油分を多く含むものだったと理解できるエピソードでもあります。
間違っても現代の柔らかいツイードジャケットで同じことをしたら、大変なことになってしまう可能性がありますのでお勧め出来ませんね(笑)
今回入荷したハリスツイードの中でも気になったのは白黒の大柄グレンチェックのジャケットです。
グレンチェックハリスツイードジャケット
サイズS〜LL スペシャルプライス¥48,800(税込53,680)
スコットランドのハリスツイードの生地を使い、グレンチェック柄の名称の意味は同じくスコットランドのグレート・グレン渓谷から取ったと言う説もあるくらいですから何やら関係深い歴史を感じてしまいます。
グレンチェックには他にも名称があります。かつてファッションのカリスマであった英国王室のウィンザー公が愛用したことから「プリンス・オブ・ウェールズチェック」と呼ばれることもあります。
その「プリンス・オブ・ウェールズ」という言葉は英国では「次期王位を継承する者」を表します。
その意味として使われるようになったのは13世紀の終わり、イングランドのエドワード1世がウェールズを併合し、次期王位になるエドワード2世をウェールズ大公の地位にしたのが、きっかけでそれ以降英国皇太子にはその称号が付けられることが伝統となっています。
この時期のスコットランドとイングランドの関係が題材となっている有名な映画と言えば1995年制作メル・ギブソン監督、主演の「ブレイブハート」。
その内容はスコットランド独立の英雄、ウィリアム・ウォレスの生涯を描いた実話に基づいたストーリーです。
衝撃的なラストシーンでしたが、アカデミー賞5部門を受賞した不朽の名作です。
最近でもイギリスからスコットランド独立の国民選挙がありましたが、その下地が古い時代から続いていたということが理解出来るでしょう。
但し、映画を観ていただければ、ご理解が深まると思いますがイングランドとスコットランドは付かず離れずのような関係で、それが現代まで続いているようです。
話しはハリスツイードに戻ります。
そのブランドロゴはあの有名なオーブ(宝珠)のマークです。
そのオーブはエリザベス女王が国会を開催する時に持つ杖の先端についている王位を象徴する標章であります。
ハリスツイードのオーブのロゴは1909年に英国王室から使用許可を得て作成されました。
スコットランド由来のハリスツイードですが、その格式を上げるためにはイングランド王室から連なる英国王室の伝統と権威が必要だったのでしょう。
少々、タイトルであるプリンス・オブ・ウェールズとハリスツイードについて深掘りしてみました。
洋服の名称の時代背景を知り、着用することもファッションの楽しみ方の一つかと。
※ショーウィンドウにもディスプレイしてみました!
グレンチェック以外にもヘリンボーンのジャケット、チェックのベストなどハリスツィードの商品が入荷しています。
店頭にて御覧頂ければ幸いです。
最後までこのブログにお付き合い下さり、ありがとうございました。
皆様のご来店を心よりお待ちしております。